📄《解説》デジタル機器をワイヤレスでつなぐ!中近距離無線通信規格
『Bluetooth』(ブルートゥース)とは何か?
それは、Bluetooth SIGが策定した
電波をつかった無線通信規格のひとつです。
近距離でデジタル機器同士のデータ通信(文字・音声・操作)を行うことができます。
ひと昔前までは、個人で音楽を楽しむカタチといえば、自宅の「オーディオコンポ」で聴く方法や外出先では「ポータブルプレーヤー」で聴く方法が主流でした。
現在は、インターネットをつかってYoutubeをはじめとした動画共有サービスやAmazon Music、Spotifyなどのストリーミングサービスで高画質・高音質な動画や音楽を「スマホ」「パソコン」でかんたんに視聴できるようになりました。
そのなかで、手軽により良く楽しめるようになった要因のひとつが、ここ数年で大きく変化したイヤホンやヘッドホンの存在です。
ワイヤレス化が実現したことでケーブルの存在がなくなり、使い勝手が格段に向上して、さらに良質なものへと進化していきました。
そのほかに、キーボードやマウス、ヘッドセットやゲームコントローラー、スピーカー、リモコンなど、さまざまな機器がワイヤレス化していきました。
それを可能にしたのが『Bluetooth』という、無線通信の技術です。
この技術は、各デジタル機器を周波数2.4GHz帯の電波でつなげて、情報通信や遠隔操作をできるようにした仕組みのことです。
電波をつかっていますが、
通信料はかかりませんので、
ご安心ください。
“電波を使って無線で接続する”
ということがわかったところで、
本文を読んでさらに学んでいきましょう。
メリット/デメリット
~メリット👍~
- ケーブルがない
- タッチノイズがない
- 消費電量が少ない
~デメリット👎~
- 充電が必要である
- 音飛びが稀にある
- 通信速度の遅延がある
Bluetoothの一番のメリットは、有線タイプの機器であったケーブルが絡むことの煩わしさや、引っ張って壊したりすることが、完全になくなったことです。
そして、ケーブルが服などに触れた時に「ガサッ!ゴソッ!」と振動が耳に伝わって雑音になるタッチノイズもありません。
はじめて使ったときは、
「ケーブルがないって
こんなに使いやすいんだ!」
ってすごく実感しました。
「最先端の技術を体感‼」
なんて、大げさですが感動しました😂
つぎに、気になるデメリットに関してですが…
“充電……音飛び……音の遅延……”
“う~ん……やっぱり、これじゃ……
Bluetoothなんて使わないよ……”
っていうほどの理由ではありません。
なぜなら、最新機種のイヤホンやヘッドホンなどは、この辺りがかなり改善されているので、心配しなくても大丈夫です‼
詳しくは、次の<3つのポイント>へ😉
3つのポイント
~ポイント💡~
1. バージョン(規格)
2. クラス(電波強度)
3. プロファイル(仕様)
バージョン
2020年5月現在の最新バージョン(規格)は『Bluetooth 5.1』になります。
初期バージョンの発表から20年以上がたち、そのなかで徐々にバージョンアップを重ねていき、通信速度や省電力性が向上したことで、デメリットであった音の遅延やバッテリーの持ちなどの問題点も大幅に改善されました。
完全ワイヤレスイヤホンの場合、1回の充電での連続再生時間が5時間~10時間持続するものが増えてきています。
年 | 規格 | 更新内容(特長) | 通信方式 |
1999 | 1.0b | 最初期バージョン。 | |
2001 | 1.1 | 本格的に普及したバージョン※1。 最大通信速度 1Mbps。 |
BR |
2003 | 1.2 | 2.4GHz帯域の無線LANとの 干渉低減対策を追加。 |
BR |
2004 | 2.0 | 最大通信速度を向上させる 通信方式をオプションで追加※2。 最大通信速度 3Mbps。 |
BR,EDR |
2007 | 2.1 | 接続方法(ペアリング)を簡略化。 NFC に対応。節電機能を追加。 |
BR,EDR |
2009 | 3.0 | 従来の約8倍の高速通信機能を オプションで追加※3。 電力管理機能を強化して省電力性を向上。 最大通信速度24Mbps。 |
BR, EDR, HS |
2009 | 4.0 | 従来から大幅に省電力性を 向上させる低消費電力通信方式を追加※4。 |
BR,EDR, HS,LE |
2013 | 4.1 | 携帯端末向けの周波数との 電波干渉低減化機能を追加。 データ転送効率化機能を追加。 自動再接続機能、インターネット直接接続通信機能、 データ提供側・要求側の同時動作機能を追加。 |
BR, EDR, HS, LE |
2014 | 4.2 | 低消費電力通信方式(LE)の データ通信速度が2.5倍高速化。 Iot 機器向けにインターネット直接接続機能を追加。 (セキュリティ機能強化とデータ転送効率向上) |
BR, EDR, HS,LE |
2016 | 5.0 | 低消費電力通信方式(LE)の データレートを調整。 (最大転送速度が2倍、最大通信範囲が4倍ほど向上) 最大通信速度125kbps ~ 2Mbps。 |
|
2019 | 5.1 | Iot 機器向けに方向探知機能を追加。 |
※1 BR (Basic Rate)
※2 EDR (Enhanced Data Rate)
※3 HS (High Speed)
※4 LE (Low Energy)
『Bluetooth 2.1』
それまでのペアリング時に必要だった4桁のパスコードの入力がなくなり、簡単に接続できるようになりました。
さらに[NFC](Near Field Communication)に対応したことで、2つの機器同士を近づけるだけでペアリングが可能になりました。
『Bluetooth 3.0』
高速通信方式のHS(Hi Speed)が追加されました。
スマートフォンなどの仕様(スペック)をみてみると、『Bluetooth 3.0 + HS』と表記されています。
ちなみに、この表記方法は現在の製品でも同じです。
『Bluetooth 4.0』
Bluetooth LE(Low Energy) いう通信速度よりも消費電力低減を重視した規格が追加されました。
ボタン電池1つで数年の稼働を実現しています。
しかし、この通信方式は『Bluetooth 3.0』と互換性がありません。
ですが、まったく接続できないわけではなく、条件があえばつながります。
『Bluetooth 5.0』
LEの部分で拡張/変更がなされ、転送速度がさらに速くなり、通信範囲も大きく向上しています。
また、Iot機器向けペアリング不要の一方向データ通信の容量が従来比の約8倍に増加しています。
『Bluetooth 5.1』
方向探知機能が搭載されました。この新機能は、通信信号の送受信角度を割り出すことで、接続されている機器がどの方向にあるのかを知ることができるようになりました。
スマートトラッカー(スマートタグ)やビーコンなどで、この機能の進化が発揮され、❝探しモノを見つける❞ことがより正確になり、さらに快適な生活を生み出すことが期待できます。
クラス
Bluetoothは無線でつなげるため、
その電波が届く範囲で通信することを規定するクラス(電波強度)があります。
各機器は、いずれかのクラスに分類されます。
クラス | 最大出力 | 最大通信範囲 |
Class 1 | 100mW | 100m |
Class 2 | 2.5mW | 10m |
Class 3 | 1mW | 1m |
最大通信範囲は、あくまでも理論値の上限なので『Class 1』の機器なら必ずしも100m通信できるわけではないので注意が必要です‼
また、電波は使用環境により左右されるので、実際に機器を接続した場合、記載されている通信範囲よりも下回ることがあります。
最近のイヤホンやヘッドホンでは
『Class 2』が多く使われています。
使用した感想として、戸建ての2階で
スマートフォンとヘッドホンを接続し、
ヘッドホンを付けたまま1階に移動しても
音声がほとんど途切れることなくつかえます。
障害物があっても通信できることがBluetoothの一番の良い点です。
しかし、電子レンジを使っていると音飛びが起こることがあります。
これは電波の周波数(2.4GHz)が
Bluetoothと電子レンジが同じであるためです。
その点は気を付けてください⚠
プロファイル
Bluetoothは無線で接続する特性上、さまざまな機器での通信に使用されるため、機器の種類ごとにプロファイル(仕様)が設定されています。
プロファイルは、各機器をBluetoothで接続して何ができるかを標準化したものです。
ここでは、主要なプロファイルをまとめてみました。
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プロファイル | 仕様内容 | 名称 |
3DSP | 3Dメガネとテレビを接続する | 3D Synchronization Profile スリーディー・シンクロナイゼーション・プロファイル |
A2DP | スマホとイヤホンなどの間で 高音質な音声データを通信する |
Advanced Audio Distribution Profile アドバンスト・オーディオ ディストリビューション・プロファイル |
ANP | 電話やメールなどの着信を通知する | Alert Notification Profile アラート・ノーティフィケーション・プロファイル |
AVRCP | オーディオ機器を リモコンで遠隔操作する |
Audio/Video Remote Control Profile オーディオ/ビデオ・リモート・コントロール・プロファイル |
BIP | 画像ファイルの送受信・印刷をする | Basic Imaging Profile ベーシック・イメージング・プロファイル |
BLP | 血圧計の情報を伝送する | Blood Pressure Profile ブラッド・プレッシャー・プロファイル |
BPP | 電子メールや画像、テキストなどの 転送・印刷をする |
Basic Printing Profile ベーシック・プリンティング・プロファイル |
CPP | サイクリング時の力などの情報を伝送する | Cycling Power Profile サイクリング・パワー・プロファイル |
CSCP | サイクリング時の速度や回転数などの 情報を伝送する |
Cycling Speed and Cadence Profile サイクリング・スピード・アンド・ケイデンス プロファイル |
DI | 機器固有の情報を提供する | Device Identification(ID) Profile デバイス・アイデンティフィケイション・プロファイル |
DUN | インターネットや 他のダイアルアップサービスに接続する |
Dial-Up Networking Profile ダイアル-アップ・ネットワーキング・プロファイル |
FMP | アラームやバイブレーションを 鳴動させる(機器の場所を特定) |
Find Me Profile ファインド・ミー・プロファイル |
FTP | 2台の機器間でファイルを転送する | File Transfer Profile ファイル・トランスファー・プロファイル |
GAP | 他の全てのプロファイルの基礎として機能する (機器の接続、認証、暗号化) |
Generic Access Profile ジェネリック・アクセス・プロファイル |
GATT | Bluetooth LE (Low Energy)を 利用するすべての通信の基礎として機能する |
Generic Attribute Profile ジェネリック・アトリビュート・プロファイル |
GAVDP | ビデオストリームや オーディオストリームを配信する |
Generic Audio/Video Distribution Profile ジェネリック・オーディオ/ビデオ・ディストリビューション・プロファイル |
GLP | 血糖値の情報を伝送する | Glucose Profile グルコース・プロファイル |
GNSS | GPSなどの測位情報を伝送する | Global Navigation Satellite System Profile グローバル・ナビゲーション・サテライト システム・プロファイル |
GOEP | ファイル転送の基礎として機能する | Generic Object Exchange Profile ジェネリック・オブジェクト・エクスチェンジ・プロファイル |
HCRP | ファイルの印刷・スキャンをする | Hardcopy Cable Replacement Profile ハードコピー・ケーブル・リプレイスメント・プロファイル |
HDP | 体重計などの健康管理機器と 通信をする |
Health Device Profile ヘルス・デバイス・プロファイル |
HFP | 電話の発着信や通話をする | Hands-Free Profile ハンズ-フリー・プロファイル |
HID | マウスやキーボードなどを接続する |
Human Interface Device Profile ヒューマン・インターフェイス・デバイス・プロファイル |
HOGP | Bluetooth LEを使用して マウスやキーボードなどを接続する |
HID over GATT Profile エイチアイディ-・オーバー・ジーエーティーティー・プロファイル |
HRP | 心拍計の情報を伝送する | Heart Rate Profile ハート・レイト・プロファイル |
HSP | ヘッドセットの 音声入出力を行なう |
Headset Profile ヘッドセット・プロファイル |
HTP | 体温計の情報を伝送する | Health Thermometer Profile ヘルス・サーモメーター・プロファイル |
MAP | 機器間でメッセージを交換する | Message Access Profile メッセージ・アクセス・プロファイル |
MPS | 複数のプロファイルのサポートする | Multi Profile Specification マルチ・プロファイル・スペシフィケイション |
OPP | 電話帳やスケジュールなどの 情報を送受信する |
Object Push Profile オブジェクト・プッシュ・プロファイル |
PAN | 一台の主要機器(マスター)と 複数の周辺機器(スレーブ)を接続する |
Personal Area Networking Profile パーソナル・エリア・ネットワーキング・プロファイル |
PASP | 電話着信時の鳴動などを 接続した機器から停止する |
Phone Alert Status Profile フォン・アラート・ステータス・プロファイル |
PBAP | 電話帳の情報を転送する | Phone Book Access Profile フォン・ブック・アクセス・プロファイル |
PXP | 互いの接続機器との 距離判別や動作をモニタリングする |
Proximity Profile プロクスィミティー・プロファイル |
RSCP | ランニング時の速度や歩幅などの 情報を伝送する |
Running Speed and Cadence Profile ランニング・スピード・アンド・ケイデンス・プロファイル |
SAP | GSM(2G)方式のSIMカード、 UICC、R-UIMカードに通信する |
SIM Access Profile シム・アクセス・プロファイル |
SPP | 仮想シリアルポート接続を設定し 相互通信をする |
Serial Port Profile シリアル・ポート・プロファイル |
SYNCH | GOEPと連動して使用し、各機器間で 情報(カレンダーやアドレスなど)を共有する |
Synchronization Profile シンクロナイゼーション・プロファイル |
TIP | 時刻情報を修正・通知する | Time Profile タイム・プロファイル |
VDP | ビデオデータをストリーミング配信する | Video Distribution Profile ビデオ・ディストリビューション・プロファイル |
上記のようにさまざまな種類があり、用途によってプロファイルが異なります。
大別すると5つの種類に分けられます。
- 音声系[A2DP, GAVDP, HFP, HSP…]
- 通信系[DUN, PAN…]
- 転送系[BIP, HCRP, OPP, RSCP…]
- 操作系[AVRCP, FMP, HID…]
- 検索系[GAP, GATT, PXP…]
例えば、ワイヤレスイヤホンで主に使用されるプロファイルがこちらです。
・A2DP
・AVRCP
・HFP
・HSP
これを簡単に説明すると、
・音楽が聴ける
・操作ができる
・発着信ができる(電話)
・会話ができる
となります。
このように、一つの機器で複数のプロファイルが対応しています。
使える条件
- 相互機器がBluetooth®を備えている
- 相互機器の対応プロファイルが同じである
まずはじめに、パソコンやスマホなどの主要機器とイヤホンやキーボードなどの周辺機器がBluetooth®に対応していることが第一条件になります。
つぎに、対応プロファイルが主要機器と周辺機器の両方に同じものを備えていることが第二条件になります。
この2つの条件をクリアしていないと無線でつなげることができませんので、必ず確認する必要があります。
どこで確認するの?
Bluetoothの有無やプロファイルの対応を確認する方法は、製品の取扱説明書やメーカーのホームページで知ることができます。
☀︎関連記事☀︎iPhoneのBluetoothについてはこちらで詳しく解説しています。
古いパソコンだから、
Bluetoothが内蔵されてない…
Bluetoothが内蔵されていないパソコンをお持ちの方は、USB端子やイヤホン端子に接続してBluetooth機器が使えるようになるものがあります。
それは、BluetoothアダプターやBluetoothトランスミッター(レシーバー)と
呼ばれているものです。
- Bluetoothアダプター
主にマウスやキーボード、ヘッドセットなどを使うためのものです。
対応プロファイルもたくさんありますので、ほかの用途にも使うことができます。
- Bluetoothトランスミッター(レシーバー)
主にイヤホンやヘッドホンで音楽を聴くためのものです。
対応プロファイルは、A2DP/AVRCPの2種類が多いです。
高音質・低遅延で音楽が楽しめるようになっています。
車のナビやオーディオでも
Bluetoothが使いたいな!
数年前のナビゲーションやオーディオでは、Bluetoothが内蔵されていないものがありますが車のシガーソケットに差し込んで使うFMトランスミッターというものでつなげることができます。
- FMトランスミッター(Bluetooth)
主にスマートフォンをつなげて、スマホ本体に入っている音楽を聴くことができます。
対応プロファイルは、A2DPのみが多いです。
Bluetooth標準の音質で音楽を聴くことができます。
使いたいものに合わせて選ぶことができますので、🚗ドライブや🛋おうち時間も充実します
おわりに
あれ?
バージョンとクラスは
関係ないの?
ということで、最後に覚えておきたいことがあります。
バージョンについて
例えば、パソコンが『Bluetooth 4.0』でマウスが『Bluetooth 5.0』のバージョンであったときは、数値の少ない方に合わせて接続されます。
ですから、最新のマウスを買ったとしても、世代の古いパソコンで使う場合には、下位互換されて『Bluetooth 4.0』でつながるということになります。
クラスについて
例えば、スマートフォンが『Class 2』でイヤホンが『Class 1』のクラスであったときは、数値の大きい方に合わせて接続されます。
ですから、最新のイヤホンを買ったとしても、世代の古いスマートフォンで使う場合には、『Class 2』でつながるということになります。
これから、Bluetooth製品を購入しようとしたときに、
バージョン・クラス・プロファイルをしっかり確認してみて下さい。
現在、お持ちのパソコンやスマホと周辺機器をつなげたときに、
“えぇ… つながらないよぉ…😵”
なんてことにならないように!
また、通信距離、通信速度、省電力にも影響がありますので、Bluetoothの機能を最大限に生かすために、その点を踏まえたうえで選んでみましょう。
最後までお読みいただき
ありがとうございました🙇
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